ブログのアクセスを待つマーケターのファネルが、上から枯れ始めた週
ファネルの一番上が、静かに細くなっている
CyberAgentのGEOラボが出した数字が、この一週間で目を引いた。検索するときに生成AIを使う人の割合が、一年で21.3%から37.0%へ。1.7倍だ。
B2Bマーケティングの多くは、ファネルの一番上を検索流入に頼ってきた。記事を書き、検索結果で上位を取り、流入を受け止め、そこから育てる。その入口が、検索結果ではなくAIの回答へ移り始めている。AIが答えを直接返すなら、ユーザーはリンクをクリックしない。ブログのアクセスを待っていたファネルは、下からではなく上から枯れていく。
検索時に生成AIを利用する割合 — 2025年5月の21.3%から、2026年の37.0%へ(CyberAgent GEOラボ)。
韓国の調査でも、B2Bソフトウェア買い手の多くがChatGPTやAI Overviewsから調査を始めると報じられている。流入の入口が、検索エンジンの結果一覧から、AIの一つの応答へと畳まれつつある。
同じ恐怖に、三つの名前がついている
面白いのは、この「AIの回答に引用されなければ見つけてもらえない」という同じ恐怖に、地域ごとに違う名前がついていることだ。
GEO / AEO
生成エンジン最適化・回答エンジン最適化。検索順位ではなくAIの回答に入ることを目標にする。
GEO
米国の呼称をそのまま取り入れて使う。漏れるファネル(leaky funnel) への対策として語られる。
LLMO
Large Language Model Optimizationという独自の呼称が定着しつつある。BtoB向けの方法論として体系化が進む。
呼び名が揃っていないということは、この対策がまだ標準的な方法論として固まる前の、各市場がそれぞれ名前から付けている初期段階にあるということだ。日本ではLANYが『BtoBのLLMOガイドブック』で4ステップの方法論を整理し、独自の言葉で動いている。
「順位」から「引用」へ、目標が入れ替わる
ここで起きている変化は、SEOの延長ではなく、目標そのものの入れ替えだ。
検索結果で1位を取る
ユーザーが一覧から自社をクリックすることが前提。流入の量がそのまま成果につながった。
AIの回答に引用される
クリックされなくても、AIの答えの中で自社が言及されるかが勝負。流入の量より引用の有無。
クリックを前提にした指標(セッション数・流入数) は、AIが答えを直接返す世界では意味が薄れる。代わりに「AIが自社をどう説明したか」「引用されたか」という、これまで測ってこなかった指標が前に出てくる。問題は、引用は流入のように素直に計測できないことだ。ファネルの上が枯れていることは数字で見えても、その代わりに何が起きているかは、まだ見えにくい。
この一週間が示しているのは、B2Bマーケティングの入口が「検索で見つけてもらう」から「AIの答えの中に居る」へ移りつつあるということだ。
ファネルの上が枯れるのを止めることはできない。問えるのは、枯れた入口の代わりに、AIの答えの中にどう居続けるかだ。
枯れ方は、まだ各国で速度が違う
検索のAI化はグローバルに進むが、ファネルが枯れる速度には差がある。日本のLLMOという独自の体系化、韓国のGEO受容、米国のGEO/AEO — 同じ現象に三つの名前がついていること自体が、まだ過渡期である証拠だ。
日本市場は、この変化を「LLMO」という自分の言葉で受け止め始めた分、対策の体系化はむしろ早い面もある。だが、AI検索の利用が37.0%という水準に達した以上、「検索上位を取れば流入が来る」という前提で組んだコンテンツ戦略は、上から少しずつ効かなくなっていく。この枯れがどの速度で進むか、そして引用をどう測るかが、次の課題になる。
未解決の問い
1. ファネルの上が枯れた分を、何で埋めるのか。AIの回答内での引用が新しい入口になるとして、それは流入のように事業成果に結びつくのか。
2. 「AIに引用されたか」をどう測るのか。クリックという計測可能な指標が消えたとき、マーケターは何を見て効果を判断するのか。
3. GEO・AEO・LLMOという三つの名前は、いずれ一つに収束するのか、それとも市場ごとに別の体系として残るのか。名前の収束は、方法論の標準化の合図になる。
CyberAgentの37.0%という数字は、来年にはまた書き換えられる。だが、ブログのアクセスを待っていたファネルが上から枯れ始めた一週間として、コンテンツ戦略の前提が静かに入れ替わった日付になるかもしれない。
出典 — Flagout — LLMO×B2B / AIO対策ガイド(CyberAgent GEOラボ 引用) · LANY『BtoBのLLMOガイドブック』(PR TIMES) · オープンアズ — 2026 B2Bマーケティング・ファネル・トレンド · Demand Gen Report — Half of B2B Buyers Start with AI Chatbots (G2)